特集 特定非営利活動法人さざなみ会@横浜に注目!
—《取材レポート》横浜ピアスタッフ協会8月定例会に参加して—「お祭り」による「身内化」が支援関係にもたらすもの
横山 紗亜耶
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1慶應義塾大学大学院社会学研究科 修士課程
pp.206-211
発行日 2022年5月15日
Published Date 2022/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200999
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横浜ピアスタッフ協会(YPS)の目的は何かと私が聞くと、「その時楽しければいい」と答える。その時楽しければそれでいいのかと聞くと、「そこまで考えてない」と答える。どうしてそこまで考えずにいられるのかと聞くと、「どうでもいい」と答える。YPSはそんな脱力感でできている。「その時楽しければいい」という言葉は、YPSの活動のさまざまな場面で聞かれるが、必ずしも印象のいい言葉ではないかもしれない。将来的なことは考えず、活動のコンセプトも曖昧で、重要な問題から目を逸らしているように聞こえるからだ。
一方で、これまで重要とされていたことを一旦忘れた状態で、自分のこと、他者のこと、そして自分が生きる社会のことを捉え直すことは、生き続けていく上で重要なのではないか。YPSでは、楽しいだけではダメ、よく考えなくてはダメ、どうにかなっていなくてはダメという規範的な前提が一旦棚上げされている。まずは楽しければいい、深く考えが及んでいなくてもいい、どんな価値観があってもかまわないというコンセプトに基づき設定された場こそが、YPSの「お祭り」なのだ。
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