連載 精神看護INDEX その「領域」の動向がわかる・1【新連載】
高齢・療養・身体合併症
長井 由樹美
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1医療法人恒昭会 青葉丘病院 精神科
キーワード:
クロストリジウム・ディフィシル感染症
Keyword:
クロストリジウム・ディフィシル感染症
pp.100-101
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100782
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クロストリジウム・ディフィシルは、大腸に常在している常在菌の一種で、通常は毒素を産生することはありません。しかし、抗生物質が効かないため、抗生物質の投与によって他の菌が死滅すると、この菌だけが生き残るという菌交代現象が起こり、毒素を産生します。すると腸管粘膜に障害を起こし、軽症では軟便、重症では激しい下痢、腹痛、高熱を伴う偽膜性大腸炎を発症するとされています。
偏性嫌気性菌ですが芽胞をつくるため、熱や乾燥、酸素や薬剤に対する抵抗力が強く、アルコール消毒では滅菌できません(芽胞とは、増殖に不都合な環境になると菌がつくる耐久性の構造物です)。そのため、医療者の手やポータブルトイレ、直腸用電子体温計の持ち手部分など、感染拡大の原因となるルートがさまざまあります。感染すると症状が多様であり、重症度に幅があること、消毒に対する耐性が強いこと、また再発も多いことから治療が困難といわれています。
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