連載 宮子あずさのサイキア=トリップ・39
100万回生きたねこ
宮子 あずさ
1
1東京厚生年金病院
pp.108-109
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100233
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なぜ絵本?
私が内科から精神科病棟に移ったのは、1996年。そろそろ丸8年になろうとしています。移った当初気になったのが、デイルームに置かれている患者さん向きの図書。その多くが絵本だったことに、違和感を感じたのでした。「患者さんを子ども扱いしていることにならないのかなあ」、そんな危惧を感じたのです。
しかし、じゃあどんな図書を置くかと考えると、これがなかなか難しいんですよ。明確な主張を打ちだしているものを置けば、境界例の人から揚げ足をとられそうでこわいし、暗すぎても明るすぎても、病状の足を引っ張ったらマズイ……。病棟の本として置くとなれば、さまざまな配慮と保身と葛藤が渦巻いてしまいます。
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