特集 高齢の糖尿病患者への訪問看護
糖尿病性腎症の透析療法の実際
水谷 大裕
1
1総合病院中津川市民病院・腎臓内科
pp.10-16
発行日 1999年1月15日
Published Date 1999/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901870
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はじめに
現在,我が国では,末期慢性腎不全で透析療法を行なっている者は17万人に及び,毎年約2万5千人の患者が新たに透析を導入されている.また,導入患者の原疾患は,糖尿病性腎症が33.9%と慢性糸球体腎炎に次いで多く,今後も増加傾向が予測される1).糖尿病は全身疾患であり,我が国における特徴は,①インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)が圧倒的に多いこと,すなわち,中年以降に発症する例が多く,糖尿病性腎症が進展して末期腎不全に至るまでにかなりの罹病期間が有ること,②透析患者に高齢者が多いこと,③何らかの合併症を有していること,などである.故に,透析を行なっていく場合も,他の原因疾患に比し糖尿病性腎症患者ではより多くの問題点を抱えることとなる.
さて,透析療法は血液透析と腹膜透析に大別され,その割合は,血液透析95%に対し腹膜透析は5%であるが,血液透析は現在,透析クリニックなどの医療機関に週2~3回通院している患者が大部分であり(在宅血液透析が保険適応になり,今後家庭での血液透析が増えていく可能性は有るが),“訪問看護”の観点から考えれば,腹膜透析患者に接する機会が血液透析患者より多いと思われるため,今回は,腹膜透析と血液透析の比較により,糖尿病性腎症患者の特徴を検討し,腹膜透析の管理の実際を述べたいと思う.
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