米国短報(最終回)
こころの時代の風景
Scott 渡辺 由佳里
pp.926-927
発行日 1998年12月15日
Published Date 1998/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901771
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若者たちと新興宗教
日本ではこのごろ新興宗教の浸透が注目されているようですが,米国でも新興宗教が若者たちの間に広まりつつあると言われています.また,子供が学校に銃を持ち込んで無差別殺戮を行なう事件も増え,親の心配は増えるばかりです.こういった社会的問題の原因は「無宗教のヒッピー世代の親から生まれた子供たちが『信仰』というよりどころがないまま育ったため.再び学校でキリスト教をしっかり教えるべきである」とまじめに唱える宗教者たちがいて,うんざりさせられます.それより,このようにひとつの宗教または哲学を「絶対真理」と盲信する素地のほうに問題があると思えるのです.
オウム真理教でもそうでしたが,我々親の世代よりもはるかにコンピュータや科学に精通した若者たちが,科学的根拠のない超常現象を簡単に受け入れてしまうのは理解しにくいものです.しかし,実体験がなくても,教えられたものを素直に「事実」として受け入れるようしつけられた者にとっては,「科学」も「超常現象」も「師の教えをそのまま信じる」という点ではあまり差がないのかもしれません.
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