米国短報
米国中流階級を覆う老後への不安
Scott 渡辺 由佳里
pp.596-597
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901703
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好景気はボランティア人口を減らす!?
4月27日,米国では歴代の大統領夫妻(クリントン,ブッシュ,カーター,レーガンはアルツハイマー病で出席できないためナンシー夫人のみ)と初の黒人大統領の可能性を噂される元陸軍元師パウエル氏などがフィラデルフィアに集まり,国民にボランティアへの参加を訴えるキャンペーンを開催しました,新旧大統領たちは(おせじにも似合わない)おそろいのTシャツを着て,ゴミを拾ったり落書きを消して国民にボランティアイズムを呼びかけるという,いかにも米国的なパフォーマンスを行ないました.
表面的な部分では,国の指導者たちが自ら国民に手本を示すという尊敬すべき行動ですが,深読みをすると,福祉予算と財政赤字削減対策の根回し案ともとれます.米国ではボランティアの経済的役割が大きいことを以前にお話ししましたが,国家が足りない予算を補うためにボランティアを計算に入れようと考えているなら,米国の将来は本当に不安です.
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