特集 在宅ケアにおける感染症対策―押さえておきたいポイント
特集2
高齢者に多い発熱疾患
上野 久美子
1
1九州大学医学部総合診療部
pp.722-725
発行日 2001年9月15日
Published Date 2001/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901365
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はじめに
発熱はさまざまな疾患で生じ,患者の状態の変化に気づく重要な糸口である。発熱の程度や治療の緊急性は年齢や発熱の原因によって異なるが,高齢者の場合は微熱であっても肺炎や重篤な病態などが隠されていることがある。高齢者は脳血管障害や,糖尿病,心不全などの基礎疾患を有する率が高いため病態が複雑となり,若年や壮年者とは症状の現れ方が異なり発病に気づきにくい場合もある。また免疫力や栄養状態も低下していることが多いため,若年層よりも疾病からの回復が遅い。このため一過性の発熱疾患であっても,治療期の臥床や食欲の低下から2次的に下肢筋力の低下や廃用性萎縮を生じ,疾病を契機に生活の活動性が低下することもある。したがって高齢者の在宅での介護に際しては,病気の予防を心がけると同時に,日常生活動作のわずかな変化にも注意を払い,治療の必要な病態が生じたら速やかに医療機関を受診し,適切な治療の時期を逸しないようにすることが大切である。
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