連載 “生きる”って?―こころに残る諸体験をひもときながら・10
いもうと―思い出をかみしめ続けて(2)
山本 勝美
1
1青葉学園短期大学
pp.858-863
発行日 2001年10月15日
Published Date 2001/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901232
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軍需関連産業のもとで
私の家族は軍需関連産業にたずさわっていたからだろう,戦時中の物資窮乏下にもかかわらず,当初は魚の缶づめ,チョコレートや航空ビタミン食という名称の栄養食まで手に入った。近所の人はこの栄養食を欲しがっていたが,私は,両親が毎日のように与えてくれるので飽きてしまい,母のタンスにぎっしりしまい込んでおいた。
航空ビタミン食というのは卵の黄味を固めた上に糖衣でおおった菓子だった。これを口の中でなめていると,やがて黄色い部分が出てくる。
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