連載 暮らしの手触り・第10回
好きなことする仲間として出会おう
坂井 雄貴
1,2
1にじいろドクターズ
2ほっちのロッヂの診療所
pp.400-401
発行日 2024年9月15日
Published Date 2024/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688202147
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私は小さな頃から庭いじりが好きだ。特にバラとハーブが好きで、私の働くほっちのロッヂでは、バラを三十本ほど育てている。4年前に藪を草刈りして、地面を起こし、何本かバラを植えては冬に枯れさせ、夏に虫にやられ、試行錯誤と紆余曲折を経ながら、やっとバラ園のような見た目になってきた。
自然豊かな夏の軽井沢では、日常に草刈りが必須だ。診察の合間に、庭に出てはせっせと花がら摘みや草むしりをする。すると、ほっちのロッヂにやってくる人が、どんな営みをしているのかが目に入る。予防接種に来た子どもが逡巡しているさまや説得するお父さんやお母さんの声、ピンポンを鳴らして待つ間に、外にある掲示板を眺める後ろ姿。「こんにちは」と声をかけると、挨拶から「きれいなお花ですね」と会話が始まることもある。診察室の手前で出会うと、人対人として出会っている感覚がある。時にしみじみと、こんな風にまちの人と出会えることは幸せだなと思う。
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