連載 The Starting Point・2
忘れ得ぬ患者さんと命継ぐ花火[宗村美江子さん]
小林 光恵
pp.81
発行日 2003年2月10日
Published Date 2003/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100777
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二十数年前の春。ナースになって4年目の宗村さんは,Eさん――大腸がんがあちこちに転移した50代前半の男性に出会った。彼は,痛みのほかに車椅子に乗るのも容易ではないほど下半身に浮腫があった。確実なケアを求める人で,厳しい人でもあった。
当時の宗村さんは,新人から中堅になりかけの時期で,「自分は何でもできる」という気持ちにあふれていた。また,最初の頃に比べて死についての理解も進み,ターミナルケアにも関心をもっていた。そんな彼女は,Eさんの厳しさに緊張しながらも完璧なケアをしたいと考えた。例えば,浮腫対策のために巻くようになった弾性包帯。ずれなくて強過ぎず,かつ見た目も美しく完璧に巻けるように何度も練習した。
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