特集 男性における"父親アイデンティティー"
デンマークの家族はいま—福祉社会に生き継ぐ伝統的な行動様式とその問題点
伊東 敬文
1
1コペンハーゲン大学社会医学研究所
pp.911-918
発行日 1982年11月25日
Published Date 1982/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206117
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はじめに:ふえる同棲と根強い結婚志向
夫にあらずして父親であるケースが,70年代以後,ふえてきている。これは,ひとつには,結婚が減り同棲あるいは事実婚と呼ばれる家族形態が増加したことに起因し,またもうひとつには離婚の増加があげられる。この場合は片親家族が形成されるわけである。これは北欧に共通の傾向といえるが,同棲率については,スウェーデンが世界で最高だという報告もある1)。
しかし同棲の正確な実態を把握することは,きわめてむずかしい。同居,同棲,事実婚の差違は,一般の人口統計ではつかみ得ないので,それなりの調査が必要だからだ。
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