連載 往復郵便・第12回
「綿あめ」と「割り箸」
榊原 千秋
,
頭木 弘樹
pp.238-239
発行日 2022年5月15日
Published Date 2022/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201862
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雑誌『文學界』2022年3月号に掲載されていた「『当事者批評』のはじまり」に衝撃を受けました。頭木さんと、オープンダイアローグを日本に紹介された斎藤環さん、『みんな水の中』(医学書院)の著者・横道誠さんとの鼎談はとても新鮮で、ドキドキしながら読み進めましたよ。
記事の中で頭木さんは、「自分の体験を簡単に言葉にしてしまうことで、綿あめのような体験が割り箸だけになっちゃうんじゃないか、肝心なものが失われてしまうんじゃないか」「しかも失われたら、人に伝わらないだけじゃなくて、自分自身の中にも残らずに消えてしまうかもしれない」と葛藤されていたと話されています。そして、「その葛藤をなんとかしようと文学の力を借りたところもある」ともおっしゃっていましたね。拝読して当事者の感覚や、文学が持つ力にあらためて気付かされた思いです。
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