巻頭インタビュー ケアする人々・31
意思決定支援=意思形成支援+意思実現支援—自閉症のわが子、そして地域の子どもたちに教えられた方法論
明石 洋子
1,2
1社会福祉法人あおぞら共生会
2川崎市自閉症協会
pp.87-94
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688200093
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「(自分は)不幸な子をもつ不幸な親」と絶望した。長男・徹之さんが、知的障害がある重度の自閉症で超多動児だったからだ。しかし今は、むしろ「変化に富んだ幸せな人生」と言う。
障害が不幸なのは、“生きる場”が狭まれ、「知らない」がゆえの同情や差別・偏見のためと、洋子さんは「地域」に飛び出し、気づけば、徹之さんが「主体的」に生きられる場を実現してきた。
そして今、徹之さんは、川崎市の公務員。「公務員」だから素晴らしいのではない。徹之さんが自らの意思で公務員になることを選んで実現し、生きいき働きながら、自分らしく地域に暮らしているからだ。
「40年間私がやってきたことは、意思決定支援に尽きます」と洋子さん。後年、認知症の両親の介護もした洋子さんは、自閉症でも認知症でも、どんなに重い障害でも、人としての意思はあるし、支援さえあれば自己決定できると確信している。では、その支援の方法とは? 自閉症でも認知症でも自己決定を可能にする地域とは?
「成年後見制度」の課題も指摘する洋子さんに、日本も障害者権利条約を批准し、「意思決定支援」が明文化された障害者総合支援法が施行された昨年の末に聞いた。
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