特集 精神科訪問看護を始めよう! 深めよう!―特化型/非特化型の知恵と技
「精神科重症患者早期集中支援」モデル事業に取り組んで―“地域”に軸足を置いたアウトリーチの可能性
西川 里美
1
1株式会社みらい訪問看護ステーション「宙」
pp.651-655
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688102863
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2009年春、保健師として長年勤めた岡山県を退職して株式会社を起ち上げ、精神科に特化した訪問看護ステーション「宙(そら)」を開設しました。岡山市南部に位置する、医療機関を母体としない独立型のステーションです。現在、保健師1名、看護師3名、作業療法士3名(うち1名は産休中)の計7名で、統合失調症や気分障害を主とする利用者64名(延べ訪問件数430件/月)に、24時間対応を含む精神科訪問看護を行なっています(以上、数値はすべて2014年5月末現在)。
当ステーションでは当初より、大和診療所(精神科在宅療養支援診療所)と協働して、包括的地域支援(ACT:Assertive Community Treatment)プログラムによるアウトリーチ(訪問支援)を行ない、重度といわれる精神障害者を可能なかぎり地域で支えることにこだわってきました。2011年10月からは県の委託を受け、大和診療所とともに「精神障害者アウトリーチ推進事業*1」にも取り組みました。これは、厚生労働省「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」が構想し、2014年度診療報酬改定で新設された「精神科重症患者早期集中支援」のモデル事業といえるものです。そこで本稿では、重度精神障害者を地域で支えるべく奮闘してきたこの5年間の活動とモデル事業への取り組みを振り返り、訪問看護をはじめとする今後の「アウトリーチ支援」の可能性について考えてみたいと思います。
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