特集 小児訪問看護に取り組もう
子どもの育つ場所は病院ではない―NICU退院児と家族のQOLのために訪問看護に願うこと
加部 一彦
1
1総合母子保健センター愛育病院新生児科
pp.598-600
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101661
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NICUのベッドは本当に足らないのか?
総合母子保健センター愛育病院(以下,当院)のNICUに1年以上の長期間入院した子どもたちの大多数は,退院後地域に帰り在宅で暮らしています。退院に際しては,その赤ちゃん担当のプライマリーナースが中心となって地域のサポート体制,フォローアップのなかで生活できるようになどさまざまな調整を行ないます。時には小児を引き受けてくれる訪問看護ステーションに訪問を依頼し,在宅での医療的ケアが難しいと判断されれば長期入院の可能な療養施設に転院することもありますが,開設以来これまで「NICUのベッドを空ける」ことを目的として,転院や退院をしてもらったという例はありません。
どんなに重症の子どもであっても,病院は子どもの育つ場ではありませんから,NICUに入院する子どもたちの最終的な目的は「お家に帰る」ことです。私たちは,たとえ寝たきりの状態であっても,子どもを家に帰すということをあきらめたことはありませんし,ずっとご家族にもそのように話してきました。
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