連載 訪問看護ステーションの現場をあるく・10
愛知へ
川越 博美
1
,
宮崎 和加子
2
1訪問看護パリアン
2看護介護政策研究所
pp.862-866
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101183
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進行性筋ジストロフィーの青年を訪問
進行性筋ジストロフィーで寝たきりになり,訪問看護ステーションがかかわるようになって9年目,目の美しいハンサムで,笑顔をたたえ穏やかな顔をした36歳の浩二さんを訪ねました。「こんにちは,お邪魔します」と挨拶をしましたら,「こんにちは。よろしくお願いします」と意思伝達装置「伝の心」で言葉が返ってきました。彼と挨拶を交わした途端,思わず涙があふれてきました。なぜ,涙があふれたのでしょう。同行した宮崎さんに,「今まで全国の現場を歩いて,歯に衣着せずに苦言を呈し,多くの訪問看護師さんを泣かせてきたのに,自分が泣くなんて……」と言われてしまいました。
何年にもわたって多くの苦しみや困難を乗り越えてきたであろう浩二さんが,あまりにも素直なやさしい顔で迎えてくれて,私の心が揺さぶられたのだと思います。浩二さんのお母さんは,「『こんな病気にならなければ,もっと違う人生があっただろうね』と浩二に話したら,『これが僕の人生だよ』と答えたのですよ」と話してくださいました。
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