連載 大牟田発! 地域の縁側で認知症ケア・12【最終回】
新たなドラマの幕開け
牧坂 秀敏
1
1地域福祉館「藤井さん家」
pp.240-243
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101037
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孤立無援の認知症介護―突然の来訪者
藤井さん家がテレビ(NHK教育:日曜フォーラム,2007年11月11日放映)に取り上げられたことで,思いがけない客を迎えることとなった。この放映で表には出ない認知症介護の現実が浮き彫りになったようだ。
昨年のことだが,送りの時間を前にした午後3時30分ごろ,玄関のチャイムがなり,「テレビを見たんですが,見学させてください」と突然女性が訪ねてきたのである。彼女の話によると,認知症の父親を引き取り,一人暮らしをしながら,仕事と介護に追われてきたとのこと。ほかの姉妹は,最初だけは毎月仕送りをしてくれていたが,それも止まり,今はまったく関わろうとしない。父親はいろんなところへ出歩いてはタクシーで帰ってくる。仕事をしていても,「火の始末は大丈夫か」「無事,家に帰っているのだろうか」と心配事は尽きない。デイサービスも利用するが,外へ出て行ったりするので「うちでは対応できない」と断られる。グループホームもあたってみたが,同じように断られた。
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