特別記事
地域包括支援センターの行なう高齢者虐待への対応―訪問看護・訪問介護との連携
菊地 和則
1
1東京都老人総合研究所
pp.932-937
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100947
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はじめに
2006(平成18)年4月の介護保険法改正により,地域包括支援センター(以下,地域包括)が創設された。地域包括は,①共通的支援基盤構築,②総合相談支援,③権利擁護,④包括的・継続的ケアマネジメント支援,⑤介護予防ケアマネジメントなど,地域におけるケアの中核機関としての役割を担っている。このうち権利擁護に関する具体的業務については,①成年後見制度の活用促進,②老人福祉施設等への措置の支援,③高齢者虐待への対応,④困難事例への対応,⑤消費者被害の防止の5つが挙げられている1)。しかし,2006年12月,東京都老人総合研究所が都内すべての地域包括を対象として行なった調査(318か所のうちの207か所(65.1%)から回答)によると,「介護予防ケアマネジメントの業務量が多すぎる」,「委託では市町村の支援が得られない」などの理由で,約2割の地域包括が虐待ケースに適切に対応できていないことが明らかになった。さらに調査は,養護者(虐待者)から介護支援専門員やサービス担当者への脅しや暴力があり,地域包括によってはその対応もなされていることを明らかにしている。
高齢者虐待に対する地域包括の役割と,地域で高齢者にかかわる専門職との連携のあり方について考えてみたい。
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