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はじめに
訪問看護ステーション制度が誕生してから,早や10年余り経過した。その間,老人保健法の改正,健康保険法の改正,さらに2000年4月から新しい社会保障制度による介護保険法が開始され,訪問看護ステーションの活動範囲は拡大した。しかし,2003年4月の介護報酬等の見直しによって,訪問看護ステーションの経営は厳しさを増している。
訪問看護ステーションの管理者やスタッフは,看護の力を地域で思う存分発揮すると同時に,地域住民の信頼を得られるよう,強い使命感を持って仕事をしてきた。地域においては,開業医師をはじめ,行政機関,居宅サービス事業機関等に従事する社会福祉士,介護福祉士等,さまざまな職種の方との協働作業が必要であり,その中に医療があり看護があり介護があった。訪問看護ステーションの役割について地域で理解され,認知されるためには,まだまだ努力が必要な現状である。
「看護と医療」,「看護と介護」の違いは何か。このことの追求が訪問看護の発展につながってくるのではないだろうか。訪問看護師としての活動が,医療職・介護職・福祉職・住民・行政等にどのように理解され,そしてどう認められているのか,今年度の改正による影響がその実情を反映するものになるだろう。
訪問看護ステーションの経営主体はさまざまで,地方公共団体・公的・社会保険関係団体・医療法人・社会福祉法人などである。今回の介護報酬見直しによる減額改定は,病院や老人保健施設等に併設し,事業所の賃貸契約や資材購入等の支払いに不安のないステーションや,同一法人等で関係機関の連携が強固なステーションにおいては,さほどの影響はなかったかも知れない。しかし,独立型の訪問看護ステーションにおいては,一大転機となったのではないかと思う。
2003年4月の“介護報酬単価の見直し”が訪問看護ステーションや居宅支援事業にどのような変化をもたらしたのか,2002年7月と2003年7月を比較して述べてみたい(表)。
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