特集 訪問看護・居宅介護支援事業の採算を問う
経営安定化で公的訪問看護ステーションの目指すもの
九里 美和子
1
1滋賀県済生会訪問看護ステーション
pp.803-808
発行日 2002年10月15日
Published Date 2002/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901398
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全国に訪問看護ステーションが誕生してから早や10年目を迎えた。その間老人保健法の改正,健康保険法の改正,さらに2000年4月から新しい社会保障制度による介護保険法と,訪問看護ステーションの活動範囲は拡大した。訪問看護ステーションの管理者は看護職である。従来から,組織のトップは“医師”が医療界の常識とされている中で仕事をしてきた私たちには大変喜ばしいことであった。看護の専門性で管理・運営できるということである。だからこそ地域で思う存分看護の力を出し,地域の人々の信頼を確実なものにしたいと強く感じていた。地域においては,開業医師をはじめ,行政機関,居宅サービス事業機関等に従事する社会福祉士,介護福祉士等,さまざまな職種の方との協働作業がほとんどであり,その中に医療があり看護があり介護があった。訪問看護ステーションの役割を地域の中で理解してもらうには,まだまだ努力が必要である。「看護と介護」の違いは何か,このことの追求が訪問看護の発展につながっているのではないかと考えている。
訪問看護ステーションの経営主体はさまざまで,地方公共団体,公的,社会保険関係団体,医療法人,社会福祉法人などである。当訪問看護ステーションは「社会福祉法人恩賜財団済生会」が設置主体である。当法人の訪問看護ステーションの目指すべき方向性は,他の経営主体別訪問看護ステーションの目指すべき方向性と,何が違うか,模索中ではあるが現状から述べてみたい。
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