連載 わたしのため・からはじまる在宅介護・4
どこも動かせない人のためのケア
川口 有美子
1
1NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会
pp.392-393
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100447
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皮膚の下で動く感情
ALSの母の在宅療養も早11年が経ちました。介護を始めた当初は介護保険制度もなく,本当に家族だけで24時間近く介護をしていました。
幸いなことに,かかりつけの医師が在宅人工呼吸療法に熱心で,全面的な支援体制を組んでくださり,私たち家族は診療所の看護師から直接,看護指導を受けることができたのです。そうやって,必死で母を支えてきたのですが,呼吸器を装着して2年半経った1998年ごろから次第に母の眼球の動きが悪くなり,とうとう文字盤が使えなくなってしまいました。私たち家族には大変なショックでしたが,ALSの中には,数%の割合で,こういった重篤なコミュニケーション障害を併発する人がいるのです。母は運悪くそういうタイプでした。
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