特集 認知症を正しく理解する
認知症高齢者への訪問看護師のかかわり―必要な知識と看護の視点
石川 容子
1
1(株)清心みのり地域看護ステーション
pp.6-10
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100367
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はじめに
訪問看護の利用者の約6割は,認知症の症状を有しているといわれている1)。訪問看護は認知症を主訴として依頼されることは少ないが,訪問してみると,認知症を疑う症状がみられる利用者は多い。家族は,身体的ケアより,むしろ認知症による症状に,どのように対応してよいのかわからず不安やストレスを抱えていることがある。
ケアを終了した帰り際の玄関先で,介護に関するさまざまな悩みを口にする家族によく出会うが,認知症によって起こる行き違いや予想できない行動に振り回される家族のストレスははかりしれないものがある。
訪問看護師は,利用者,家族にとても近い存在である。だからこそ,認知症高齢者と家族に寄り添い,専門的知識と技術を持って個別的な看護を提供することが必要である。私は,認知症高齢者と家族の苦悩や多様なニーズに応えるために,正しい知識の必要性を感じ,認知症高齢者看護認定看護師を目指した。
高齢者は生きてきた歴史が1人ひとり異なる。認知症高齢者へのケアも,教科書通りにはいかないが,在宅で生活する認知症高齢者と家族が,少しでも平穏に過ごせるように,訪問看護師に必要な知識と看護の視点について述べたいと思う。
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