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はじめに
今年4月の介護保険の報酬改定で,がん末期や難病等,医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ中重度者とその介護者を支援するサービスを提供するための,通所介護の一類型として「療養通所介護」が創設された。
この制度の創設背景には,2002年に愛媛県松山市の医療法人財団慈強会東松山訪問看護ステーション(安藤眞知子所長)が実施した「訪問看護ステーション機能設置モデル事業(社会福祉・医療事業団助成事業)」,いわゆる「通所看護」に始まり,2003~2004年度厚生労働省未来志向プロジェクト「小規模多機能化事業(通所看護等)」(9事業所)へとつながっていく一連の取り組みがある(事務局:日本訪問看護振興財団)。
これらの取り組みの成果は,2004年7月に社会保障審議会介護保険部会がまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」のなかの,「重度者に対応した医療型多機能サービス」や「重度者の家族支援」として盛り込まれた。さらに「難病など医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ在宅の中重度者への対応や,在宅におけるターミナルケアの観点から,訪問看護ステーションや地域に密着した医療機関を活用して医療と介護の連携を図ることにより,在宅療養をより支援していくために必要な措置を講じること」という,国会での付帯決議(2005年4月27日衆議院厚生労働委員会,6月16日参議院厚生労働委員会)にまで至った。
2005年度は,介護報酬改定にむけた検討会「介護保険サービスにおける看護提供体制のあり方に関する調査研究事業(井形昭弘委員長)」が開始され,18訪問看護事業所がモデル事業に参加した。そこでの論議を経て,今年4月の報酬改定で療養通所介護として創設されたという経緯がある。
医療法人偕行会(以下,当法人)の訪問看護ステーション「なかがわ」は,2004年度の事業から参加し,訪問看護ステーションと一体的にサービスを提供する医療対応型小規模多機能型モデルとして「訪問・通所・泊まり」(図1)を実践した。
なお,当法人は2006年4月1日に愛知県知事より指定を受け,現在は「療養通所介護事業所さくら」として,介護保険給付で通所サービスを提供している。
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