連載 ドキュメント―介護アドバイザーが行く⑮【最終回】
“やりたい介護”を実践していますか?
高口 光子
1
1事務局ライフケア
pp.256-260
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100110
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
老人病院のリハビリ科科長,特別養護老人ホームの介護部長を経て,介護の変革を請け負う介護アドバイザーになった著者の活動日記風レポート。
派遣されて行く先々の老人ケア施設での試行錯誤的な活動を通して,介護施設のケアシステム,介護従事者の教育・研修セミナー,介護者の意識の変革など,介護の現状を現場感覚でレポートします。
介護保険施設や事業所を起業する時,その設立に関わることを通じていわゆる“顔見知り”の小集団が形成されていく。立ち上げ以降,運営が一定の軌道に乗るまで,この小集団は重要な役割を持つ。しかし,“顔見知り”同士の信頼と熱意でしばらくは何とかなるものの,さまざまな不具合を体験すると「組織化が必要なんじゃないか?」という雰囲気が漂ってくる。もともとあった役割分担や専門分野がうまく仕事に活かされないことで,この雰囲気がより強くなっていく。それでも,当面は“顔見知り”のグループを増員したり,役割を補い合って問題を解決していく。全体の職員会議と呼ばれる装置の中で,施設長が大きな声で明確に職員に語りかけるだけで事業所がまとまっていく時期である。
しかし,介護の現場は時間がたつと変質していく。このことを知っている施設長は少ない。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.