特別記事
高齢患者への服薬支援を考える―服薬の問題点とその対策
荒井 有美
1
1北里大学病院看護部
pp.24-30
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100044
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はじめに
十分でない高齢患者の服薬への配慮
日本の高齢化率は,総務省の調べによると1950年には5%であったのに対し,2003年には19%と,総人口のおよそ5人に1人の割合になっている。これは今後も上昇を続け,2015年には総人口の26%と,およそ4人に1人が65歳以上になると見込まれている。国際的に見ても急速な高齢化である。
これを背景に,高齢患者が増加している。そして,2000年6月の厚生労働省の調査で,入院外の投薬における薬剤種類数別件数の構成割合を見ると,一般医療では薬剤数が「7種類以上」の割合は4.8%となっているのに対し,老人医療では11.1%となっている(図1)。
このことから,高齢患者の多くはその治療に多数の薬剤を服用している「多剤併用療法」を受けていることがわかる。
これまで私は,薬剤師として,また看護師として,多くの患者の服薬管理や服薬支援を行なってきた。そのなかで,前述のように,高齢患者の増加や,個々の患者の服用する薬剤数が多くなっていることを日々感じている。しかし,それにもかかわらず,高齢患者への服薬に対する配慮が不十分ではないかと思うことがある。特に,薬剤の使用方法,剤型,包装などに関しては,「高齢患者が使用することを考慮に入れた開発がされていないのでは?」と思うことが多々ある。
本稿では,これまで私自身が遭遇してきた高齢患者への服薬の問題点と,服薬の特徴をあげながら,看護師が知っておくべき注意点・対処方法について述べる。
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