My Challenge
「じっくり構えて……」とはいかなかった臨床の1年問
新道 幸恵
1
1神戸大学医学部付属病院・看護部
pp.273
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901836
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看護の基礎教育,卒後教育あるいは研究を主な仕事とする職場を長い間経験してきた後に,いきなり大学病院という,高度医療機関における看護管理の職に転職して1年余りが経過した.看護管理の経験が全くないこと,臨床経験ははるか昔のものであること,新しい職場には私の知人がいないこと等を心配して,知人の何人かから,「最初の半年か1年は何もしないで,とにかく情報収集をじっくりやった方がよい」という助言を頂いた.またある知人からは,」時がたつと,情につながれた人間関係ができてしまって,かえって思い切った仕事ができなくなるので,最初から積極的に行動した方がよい」という助言を頂いた.
私は,前者の助言を心して赴任した.しかし赴任の第1日目から,私の即座の意志決定が必要なでき事に出会い,臨床はそう悠長なことを許してくれる場ではないことに気づかされた.看護管理の職に就くことを決心してからは,これまでの教育や研究の中で得てきたものを実践で活かすことへの期待を持ち,それなりの夢を抱いていた.しかし看護管理経験のない私は,「最初に思い切ったことをする」ほどの具体策を持ち得ていなかったため,この1年間は,その場その場における問題解決でやりくりしてきたように思う.
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