特集 看護職をいかす組織―鳥取市立病院の看護
システムを息づかせる人,理念,実践
塩澤 洋子
1
,
小林 達子
1
1鳥取市立病院看護部
pp.342-347
発行日 1998年5月10日
Published Date 1998/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900817
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繰り返し体験する人との絆「山の上の火」の昔話に看護を思う
エチオピアの昔話1)に「山の上の火」という話がある.金持ちが,自分の所有する土地,家,牛,山羊と引き換えに,召使いの少年に「凍えるような冷たい風の吹いている山の一番高い峰の上で,一晩裸で立つ」ことを条件に出した.少年が知恵のある老人に相談したところ,「山の反対側の岩の上で一晩中火を燃やしてやる.それを見て暖かい火のことを考え,そこから火を燃やしている自分のことを考えるのだ」と教えられ,少年は火を見つづけることによって,山の頂で苦しい賭けに勝ったという話である.
火を見つめる少年,火を燃やしつづける老人,その中で成し遂げられた少年の志.この3つがひとつになった時,人は勇気が湧き,生きている実感を体験できる.看護という仕事は,まさにこの3つが合体した仕事だといえる.
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