連載 かれんと
あなたには責任はないんだよ
中山 一樹
1
1鹿児島県立短期大学
pp.475
発行日 1997年7月10日
Published Date 1997/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900661
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この春に短大に入学してきた学生150人ほどにアンケートをした.その中で「高校を卒業したあとすぐに仕事をするのではなく,また学校にいくのだと,いつ頃から思いはじめましたか」と尋ねた.これは,進路決定時期の実態を知るためではなく,彼らがどのように高校後の自分の姿を描いてきたのかを知ろうとするためだ.結果は,小学6年以前30%,中学時代40%,高校時代30%だった.19歳以降の進路について,7割もの学生が中学時代までに漠然とではあれ決定し,さらに3割の学生は12歳までに高等教育進学を予感していたのだ.12歳という年齢は子ども時代に属するものではなかったか?
このように,学生たちは子ども時代から自分イメージを先取りしながら生きてきた.この結果について「今時そんなものだろう」という感想もありえよう.だが,はたして高卒後の人生設計について小学生自身がどんな具体的情報を手にできるだろうか.そこには,彼ら自身が与かり知らない高卒後の自分イメージをつくる力がはたらいているのだ.この力とは,親をはじめとする大人世代が日々シャワーのように刷り込む力,つまり予期的社会化の力である.
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