書評
—目指せ 院内感染ゼロへ!—国立国際医療研究センター(NCGM)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応マニュアル
山元 惠子
1
1東京都看護協会
pp.1046
発行日 2021年11月10日
Published Date 2021/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686202019
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いち早く有効で適切な対策を選択するために
クライシスマネジメントとしての組織管理の視点が充実
本書の特徴は,初療に当たる救急部門から,患者が機能や生活を取り戻すためのリハビリテーション部門まで,幅広い領域での最前線の対策が紹介されていること,さらに執筆者の3分の1は現場の看護師であり,対策の中に患者を支える視点や,職員のメンタルサポートを含めたクライシスマネジメントとしての組織管理の視点が充実していることにある。
新型コロナウイルス感染症は,日本では当初,2020年1月に「原因不明の肺炎」としてネットやニュースで話題になったが,あまり深刻な状況ではなかった。なぜならば日本では,2002〜2003年に中国・香港・シンガポール・カナダに広がったSARSや,その後中東を中心に広がったMERSが国内に持ち込まれた時,院内感染や地域流行が起きなかったからである。しかし当時は,海外では患者だけでなく医療者の命も失われており,連日メディアが伝える現地の様子は,一般市民はもちろん医療関係者にとって大きな恐怖となった。
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