連載 看護事故の舞台裏・14
人工呼吸器の電源入れ忘れ事故
長野 展久
1
1東京海上日動メディカルサービス医療本部
pp.188-191
発行日 2015年2月10日
Published Date 2015/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200131
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「看護師書類送検 人工呼吸器止まり患者死亡」という,ショッキングな見出しの事件が報道されたのは2年前のことでした(2012年9月18日毎日新聞)。この事件の原因は,患者さんの痰を吸引するために看護師が人工呼吸器を外した際,鳴り響くアラームを消音しようとして人工呼吸器の電源をオフにした後,再びオンにすることなくその場を離れたことでした。同様の事故は過去10年以上にわたって繰り返され,これまでの苦い教訓はなかなか活かされていません。
人工呼吸器装着患者において事故が発生するのは,痰の吸引,口腔ケア,清拭,人工呼吸器の回路交換,加温加湿器への蒸留水補給,あるいはCT検査などの患者搬送等の目的で,一時的に人工呼吸器を外したときに集中しています。そして当事者となった看護師はいずれも刑事事件として書類送検され,罰金刑や執行猶予付きの有罪判決という厳しい結果となりました。
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