連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・93
泣いていたあの子,歌っているかと
柳田 邦男
pp.188-189
発行日 2014年2月10日
Published Date 2014/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686103011
- 有料閲覧
- 文献概要
偶然のことなのだろうが,遠く離れた国の,互いに交流があるわけでもない別々の作家の創作した絵本が,表面的には違うストーリーなのに,根底に流れるテーマは同じ方向を向いたものになっていることがある。最近出版された日本の絵本『みずたまり』とスペインの絵本『なにか、わたしにできることは?』を,たまたま続けて読んだとき,そう感じたのだ。同じ方向を向いた共通のものとは何なのか,まずは2作を読んでみよう。
『みずたまり』の文章を書いた森山京さんは,子どものみずみずしくも繊細に揺れ動く心模様を美しい文章で描き出した童話『黄色いバケツ』などのきつねの子シリーズを書いた作家だ。私も愛読者の1人と自認している。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.