特集 緩和ケアの質マネジメントとその評価を考える
緩和ケアチームのマネジメントの実際
井上 貴美
1
1山梨大学医学部附属病院医療チームセンター
pp.976-981
発行日 2005年12月10日
Published Date 2005/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100270
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はじめに
山梨大学医学部附属病院(以下,当院)は,創立から20年あまりが経過した地方の大学病院である。建物もやや老朽化しており,新病棟建設の話は何度か出たものの実現には至らず,緩和ケア病棟の新設という希望があってもなかなか実現しないというのが現状である。
全国では,年間約30万人ががんで死亡するのに対し,緩和ケア病棟承認施設は144施設,2732病床(2005年6月1日現在)しかなく,緩和ケア病棟以外にも緩和ケアの提供が必要なことはこれまでにも指摘されてきた。そのような経緯から,緩和ケアチームを念頭に,緩和ケア診療加算が2002(平成14)年4月の診療報酬で新設されている。
当院では2002年9月に緩和ケアチーム結成の準備が開始された。筆者は翌年の4月に病棟から管理室へ移動,5月から緩和ケアナース養成研修に参加した。緩和ケアチームが活動を開始したのは準備から1年後の2003(平成15)年9月である。まず緩和ケアチーム活動内容の紹介を院内の看護師全体に行なった。その時点では身体症状緩和に携わる専従医師と専従看護師(筆者)のみでの活動だったが,11月には精神症状担当の医師と薬剤師が参加し,その後は診療加算に必要な,緩和ケア計画書や依頼書,依頼のフローチャート作成などの準備を進めた。2004(平成16)年4月には,メンバーに正式の辞令が発令され,緩和ケアチームとしても中央診療部門の医療チームセンター内に組織として明確化されたことを受け,5月から緩和ケア診療加算の算定を開始した。加算算定に必要な病院機能評価の更新は,2005(平成17)年2月に済んでいる。
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