研究論文集 原著論文
集中治療室における看護ケアの分析とその構造化
上泉 和子
1
1兵庫県立看護大学
pp.2-19
発行日 1994年2月15日
Published Date 1994/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900176
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1.序論
集中治療室が,日本で誕生してからすでに25年が経過した。その間,集中治療は救命に大いに貢献し,高度医療は評価され,目ざましい発展を遂げた。しかしながら,我が国の世界に類を見ない高齢化や,脳死,臓器移植,患者の権利,倫理的問題,生活の質などの問題がクローズアップされるようになり,高度科学技術を駆使した集中治療は生命についての価値の見直しを余儀なくされている1-3)。高度化する医療の先端をいく集中治療が,「救命」「命の存続」という近代の価値観と,高度科学技術を駆使した中でさえも,「人間らしく生きる」「その人らしく生きる」といった新しい価値観との間でそのありようを問われている。
先進国では高度技術は医療に限ったことではなく一般的な潮流となっており,ネイスビッツが指摘するような,人間的な関わりの重要性は,高度科学技術の医療環境にある集中治療室でも,今まさに注目されるようになったと言える4-8)。
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