特集 日本看護診断研究会・第1回学術集会報告
教育講演
看護診断:恐怖と不安
川野 雅資
1
1東京女子医科大学看護短期大学
pp.42-46
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900062
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はじめに
不安というのは人変身近な概念である。学生の看護計画をみても,退院前の患者であれば退院への不安,手術前の患者であれば手術に対する不安,ということは必ずといってよい程記述されている。しかしながら,実際にその不安に対処したか,ということになると意外と記録に書かれたままのこともなきにしもあらずである。
つまり,不安ということは身近なことではあるけれど実際にそのことに対処するとなると,なかなか難しい。その理由は,不安というのが人間の内的反応であるために,誰からもよくわかるというものではないことによる。例えは,排便が4日間ないとしたら,それは誰がみても排便がうまく行っていない,ということがわかる。しかし,仮に患者が不安な状態にいたとしても,すべての看護婦が同様に患者の不安に気づいているわけではない。このように,なかなか目に見えにくい,という特長がある。
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