連載 看護実践モデルの構築・評価・改善—その方法とプロセス・7
自然災害時における病院看護管理者の受援力を高める看護教育実践モデルの構築
黒瀧 安紀子
1
1京都橘大学看護学部
pp.402-410
発行日 2024年8月15日
Published Date 2024/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202237
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はじめに
1995年1月,阪神淡路大震災が起こり,これを契機に災害拠点病院の整備,ならびに災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team: DMAT)の育成や派遣体制の整備が行われた。看護ではこのときの看護師派遣の経験をもとに,公益社団法人日本看護協会の災害支援ナースの派遣システムが構築された。支援システムが整備される一方で,派遣されてきたDMATや災害支援ナースなどを受け入れる体制は十分ではなく,2011年の東日本大震災後に示された「災害医療等のあり方に関する検討会」の報告書(厚生労働省,2011)では,医療支援チームの受け入れ体制の整備が必要であることが示唆された。
筆者は,災害時の支援チーム派遣のシステムが構築されていながら,被災地では支援チームの受け入れが難しいと言われていることに,なぜ,欲しいはずの支援受け入れが難しいのかという単純な疑問を抱いたことをきっかけに,災害時の受援(支援を受け入れること)についての研究を始めた。受援力の研究はまだあまり行われておらず,看護管理者が受援力について学んだり,受援力を向上させたりする機会はほとんどないことから,最初に災害時の受援力をコア概念として明確にした後,看護管理者の受援力を向上させる教育プログラムの開発に取り組んだ。
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