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概要
動物実験を行なう際は,国・機関のガイドラインを遵守し,動物実験委員会による承認を得た上で実験を始めることが必須である。動物実験を計画する際に,最も基本となる考え方は3Rである。これは,Reduction(削減):正しい実験デザインに基づいて,十分な結果を得るために最小限数の動物を用いること,Refinement(改善):適切な実験方法とハンドリングによって,障害や苦痛を最小とし,動物福祉の向上を図ること,Replacement(代替):物理学的,化学的,数学的試験や細胞・組織を用いたin vitro試験を行なうことで,不必要な動物実験を避けること,の3つである。この3Rを推進する英国の3Rsセンター(NC3Rs)によって開発されたのが,ARRIVE(Animal Research: Reporting of In Vivo Experiments)ガイドラインである。これは,同機関の調査により,多くの動物実験を報告している研究論文において,情報が不十分なために再現性が損なわれるという事実に基づいている(Kilkenny et al., 2009)。したがって,ガイドラインの目的は,「公表された情報を最大限生かし,かつ不必要な研究を最小限にすること」であり,それにより動物実験がどのように行なわれたのかを,読者が正確に理解することを助けるものである。
ARRIVEはKilkennyらにより,2010年にPLoS Biologyに発表された(Kilkenny, Browne, Cuthill, Emerson, & Altman, 2010)。現在,その改訂版が同誌に投稿中となっており,プレプリントがbioRxiv(https://www.biorxiv.org/search/ARRIVE)にて閲覧可能である。本稿では2010年のオリジナル版を紹介する。
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