焦点 看護における家族研究の課題
海外レポート
家族査定法としてのEEの日本への適用と英国におけるEE研究の最近の動向
羽山 由美子
1
1東京医科歯科大学医学部公衆衛生学教室
pp.466-471
発行日 1989年10月15日
Published Date 1989/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201041
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
筆者は看護の立場から,精神障害者の社会復帰や社会適応を進める上で,家族の果たす役割や家族の重要性について関心をもち,過重な負担を負っている家族に看護職が提供できる支援のあり方を検討している。これまで数名のメンバーとの文献研究を通じて,家族の表出感情(Expressed Emotion,以下EEと略)は障害者の再発に深くかかわり,家族への支援を行なう上でも無視することのできない要因であることがわかっている。そして特に重要なことは,おそらくEEが家族の置かれた社会的・経済的状況,ストレス状況を反映しているのではないかという点である。看護婦による家族への支援によって少しでも家族の負担を軽減できるなら,家庭での患者とのかかわりはある程度は改善し,社会復帰の促進となるのではないだろうか。このような関心から,イギリスにおける一連のEE研究と家族介入の実践に興味をもち,今後,他領域の人々と学際的にEE研究を行ないたいと考えている。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.