特集 看護が好きでたまらない—私の看護,私のこだわり
私がこの看護にこだわる理由
プライマリ看護へのこだわり
城 美奈子
1
1札幌麻生脳神経外科病院
pp.444-448
発行日 1997年5月1日
Published Date 1997/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905339
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看護ってすごい!,そして喜び!
私が看護の限りない深さと喜びをはじめて実感できたのはいつのことだろう.そう思うと,ひとつの看護にたどりつきます.看護婦5年目,27歳の時です.はじめて患者さんからいただいた手紙が看護者としての姿勢のあり方に区切りをつけてくれたような気がします.
その手紙は,「思い切り手に持つ小石投げまほし,やるせなき身をすつる如くに,絶望,焦り,やり場のないくやしさ.視力が回復しなかったら命を絶ちたい,回復するのなら命が縮まってもよい.あと10年視力が欲しい.物心がついた頃から視力で苦しみ続け,今この絶望のふちに立たされようとは,これが運命なのだろうか,あまりにも苛酷ではないか.もし貴方にめぐり会っていなかったら今頃私はどうなっていたかわかりません.貴方のご誠意とご厚情にはなんともお礼の申し上げようがございません.ご恩返しはできませんが,貴方の崇高な人間愛的な心に打たれました.なんとか自己の生きがいある道を見つけ努力していきたいと思います.それが貴方のご厚意に報いる方法だと,弱い心に鞭打ち頑張りたいと思います(自信がないなあ………).本当に有り難うございました.ご恩は一生忘れません.2度とお会いすることはないと思いますが,どうぞいつまでもいつまでもご健康で幸多い人生をお送りくださるよう心からお祈り申し上げます.さようなら白衣の天使様.」
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