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焦点 手術を前にした患者の看護
海外論文
心臓手術患者の睡眠障害
Sleep Deprivation in Patients Having Open-Heart Surgery
Eileen H. McFadden
1,5
,
Elizabeth C. Giblin
2,4
,
小林 静子
3
1Iowa看護大学
2Washington大学外科看護学部
3自衛隊中央病院高等看護学院
4Colorado大学教育学
5Washington大学看護学
pp.293-298
発行日 1973年10月15日
Published Date 1973/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200352
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はじめに
一般外科手術による術後精神障害に関して数年間にわたって調査した報告がある1)。また,それに加えて,近年開胸術による術後精神障害を統計的に調査した結果も発表されているが,それらは,3〜38%もの大きな開きが見られている2-5)。これら術後精神障害について考察すると,次のような要素がその原因として列挙されよう。すなわち,疾病そのものの術前の重症度,人工心肺使用時間の長短,手術によって交換された弁の数,脳組識の酸素欠乏,体液・電解質の化学的アンバランス,空気栓塞の形成などである。睡眠障害は,各種外的刺激に対する感覚消失と同様にしばしば考えられてきた2,3,6-10)。報告によれば,術後精神障害の発症は,その外科的テクニックの優劣に比例して見られているが,更に加えて考えられることは,1)患者個人の術前の精神状態,2)ICU,リカバリールームの環境,3)手術そのものの肉体的侵襲8,9),である。しかし精神的,肉体的要素の重要性は強調していても,不眠を術後精神障害の原因とみなしてはいない4,11)。ある報告は,患者が余りにも術後処置に追われて適切な安静を得られなかったとしている報告がある12)。不眠とは,平常の睡眠型が崩され,適切な眠り,夢を奪われることである。
そこで,文献について,心臓手術後心臓神経症の報告例と,不眠症例との間に何らかの共通点がないかを考察してみた。
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