連載 統計学のキー・ポイント─「検定」に焦点を当てて・5
相関についての検定—Tests for Correlation
髙木 廣文
1
1東邦大学看護学部
pp.584-589
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200012
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相関関係とはどんな関係か
一般的に言って,身長が高ければ体重は重いし,手足も長くなるでしょう。人間は高齢になればなるほどさまざまな病気にかかる人も増えてきます。このように,世の中に存在する物事の間には,相互になんらかの関係があるのが普通です。このような「関係」を,統計学ではどのように扱っているのかということについて,今回は扱ってみたいと思います。
英国人フランシス・ゴルトンFrancis Galtonは,チャールズ・ダーウィンCharles Darwinの従弟であり,ダーウィンの『種の起源』(1859年)の出版に触発され,進化と遺伝の問題,それを科学的に扱う生物統計学を研究するようになったといわれています。1865年には『遺伝的才能と性格(Hereditary Talent and Character)』という本の中で,天才が遺伝することと結婚により人類を向上させる可能性を論じています。1869年には『遺伝的天才』を発表し,天才が遺伝することを証明しようと試み,知性の分布をガウス分布(正規分布)に従うものと仮定しました。また,ゴルトンは,スイートピーの親種と子種の観察を行ない,大きな親種の子種の平均値は親種より小さくなり,小さな親種の子種の平均値は親種の平均値より大きくなるような傾向があることを見いだしました。当初,このような傾向は「reversion(先祖がえり)」と呼ばれていましたが,その後,「回帰regression」と呼ばれるようになりました。
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