焦点 EBPを根づかせていくための概念モデルと方略(I)―〈概念・研究編〉EBPの概念とその実行に向けた方略
扉
松岡 千代
1
1兵庫県立大学看護学部
pp.177
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100436
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エビデンスに基づく看護あるいは実践(EBP ; evidence-based practice)という用語が日本でポピュラーになって久しい。筆者が初めてこの用語を知ったのは約10年前であった。そのとき,看護を含めたヘルスケア領域全般にわたり,今後このEBPの考え方や方法論は日本でもトレンドになるだろうという予感をもった。
その後2006(平成18)年,兵庫県立大学看護学部第13回国際セミナーにおいて,米国アイオワ大学看護学部のTripp-Reimer博士を招き,「看護実践と研究の循環」と題する講演が開催された。講演ではEBPの基礎的知識の普及だけでなく,その次の段階としてEBPを臨床にどう根づかせていくかが課題であり,その方略としてトランスレーショナル・リサーチ(サイエンス)の重要性が示された。アイオワ大学看護学部と同大学病院看護部はEBP関連の看護研究に関して有数の実績を誇っており,Tripp-Reimer博士は看護学部副学部長,老年看護介入研究センター所長として,リサーチトランスレーション・普及部門を先導してきた。そして2009(平成21)年,Tripp-Reimer先生との所縁から,筆者は念願叶って同大学看護学部で在外研究の機会を得た。研究期間中にはEBP関連のさまざまな研究的取り組みや,大学院修士課程のEBPクラス(ウェブクラス)への参加,また同大学病院でのEBP実行プロジェクトの見学等の機会を得た。こうした研究の最新動向に触れるなかで,日本でのEBP実行の促進を見据え,ぜひとも紹介できればと考えた。
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