焦点 看護研究における倫理を再考する
[米国の研究倫理審査の現状と課題]
倫理審査を行なう側の立場から
小笹 由香
1
1東京医科歯科大学生命倫理研究センター
pp.445-450
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100262
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はじめに
新しい研究へのアイディアが思い浮かんだ際に,研究者にとって必ず思い起こされるのは,研究倫理審査に向けての準備の困難さではないだろうか。昨今では,個人情報保護法の遵守や,研究の対象となる患者や家族を保護するため,施設に所属のない研究者が研究を行なう際に,フィールドを確保するのは,多大な困難が予想されている。しかし一方で,最新の医療を提供するためには,質の高い研究を行ない,その成果をケアに生かすことが必須である。したがって,看護実践の質を保証するためには,研究倫理審査に関する課題や問題をクリアし,迅速にかつ確実に社会に還元できるようにすることが急務であろう。そこで本稿では,筆者が,昨年秋に大学から派遣された,Harvard School of Public Health(以下HSPH)の研究倫理審査部門(Human Subjects Administration;以下HSA)において学んだ研究倫理審査の実際を示し,米国における現状の一例をもとに,日本への示唆を述べたい。
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