焦点 看護研究における倫理を再考する
[米国の研究倫理審査の現状と課題]
倫理審査を申請する側の立場から
和泉 成子
1
1Linfield College, USA
pp.451-457
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100263
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日本で研究の倫理が問われるようになってきたのは主に2000年代に入ってからであるが,米国では1970年代より研究に参加する研究対象者の保護を目的に,研究の倫理性を審査する体制がつくられてきた。米国では,1950年代から1970年代に起こった数々の非倫理的な研究とそれに対する国民の批判の高まりから,1974(昭和49年)年に国家研究法(National Research Act)が制定された。この法律により,ヒトを対象とする研究は研究倫理委員会の承認を受けなければならないことと,委員会の設置と審査基準が定められている(アムダー,2003)。米国の大学や医療研究機関における研究倫理審査委員会はInstitutional Review Board(IRB)と呼ばれている。IRBの成り立ち,審査過程,基準などについての詳細は本号・小笹氏による論考(p.37-42)を参照していただきたい。ここでは,IRBに申請して審査を受ける研究者の立場から,その現状と課題について検討する。
なおIRBの運営は国家研究法により規制されているため,米国内でほぼ統一されているが,施設により多少の構造・運営上の差異はあると考えられる。本稿の中では,筆者が所属していたOregon Health & Science University(OHSU)のIRBへの審査申請の過程を中心に,米国の研究倫理審査の現状を紹介する。
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