焦点 看護研究における倫理を再考する
[日本の研究倫理審査の現状と課題]
病院内看護研究の倫理審査の現状と課題
田村 恵子
1
1淀川キリスト教病院看護部
pp.431-434
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100260
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
看護研究に関する病院内の倫理審査の状況は,次稿の「臨床の研究倫理審査体制の実態調査」で詳細に報告されているように,病院ごとに大きく異なっている。その現状について述べる前に,まずは各機関に設置されている倫理委員会について,その概略を説明する。
治験が行なわれている施設にある治験審査委員会は,GCP省令により設置が定められているものであり,治験の倫理性,安全性,科学的妥当性の審査を目的とする。一方,研究機関である大学や一般病院にある「施設内倫理委員会(Institutional Review Board ; IRB)」は,各機関が自主的に設置・運営を行なっている。IRBには,医学研究などの倫理審査を行なう「研究倫理委員会(Research Ethics Committee)」と,臨床現場で生じる倫理的問題に関するコンサルテーションを行なう「臨床倫理委員会(Clinical Ethics Committee)」とがある。この2つの委員会がそれぞれに設置・運営されている施設と,両者の目的を1つの委員会が担っている施設とがある。
本稿では,病院内における看護研究の倫理審査の現状についてまずその概要を説明し,さらに,筆者の所属施設での現状と課題を述べる。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.