焦点 Community-Based Participatory Research─患者・家族・市民とともに創る研究
―基調講演・2―CBPRの実際―Community-Based Participatory Researchの臨床への応用
Noel J. Chrisman
1
,
鈴木 久美
2
,
麻原 きよみ
3
1School of Nursing, University of Washington
2聖路加看護大学看護実践開発研究センター
3聖路加看護大学
pp.91-97
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100056
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実行する上での障害と希望
Community-Based Participatory Research(以下,CBPRとする)の理論だけではなく,私の経験も交えたその実際についても話してほしいとの依頼を受けています。早速始めたいと思いますが,それにはまず前置きが必要です。
表1は,私がNational Institute of Nursing Researchでの看護研究促進のためのワークショップに参加した際に,そのグランドプログラムにぜひ入れてほしいと思ったステートメントです。CBPRを実行する上での問題点や障害となるものには何があるか,希望があるとしたらそれは何かということです。難しいのは,人を動かす力をどう発揮するかということで,研究者は,人にコントロールされるのを嫌います。問題は,今のやり方を根本から変えなくてはいけないのだけれども,そこには強い抵抗があるということです。例えば,Evidence Based Nursingという立場では最もレベルが高いのはRCT=無作為化比較対照試験だといっても,CBPRにおいてはRCTの結果ばかりをあてはめようとしても,うまくいくとは限りません。ですから,EBNによるものではないことも用いなければならないこともありますし,今やっていることを考え直して別のことをやってみるように私たちが人々に頼んだりもしています。
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