特集 助産所でも診療所でも病院でも ここまでできる産後ケア
—安全で安心な産後ケアを実施するために—産後ケア施設における「予期せぬ乳幼児の突然死」(SUDI)予防
小保内 俊雅
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1地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立多摩北部医療センター小児科
pp.183-189
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202273
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はじめに
核家族化や地域互助意識の希薄化,さらにワンオペ育児に象徴されるように,子育て中の母が抱く孤立感がもたらす心身への負担は想像以上のものがある。近年,その育児ストレスが要因となり発作的に子どもを虐待する例が顕在化し,社会問題として認識されるようになった。厚生労働省ホームページに掲載されている子ども虐待の重大事例検証報告によると,0歳児が最も多く全体の65.3%を占めていた1)。加害者として3歳未満では実母が62.9%と最も多く,その動機として,子どもの世話・養育方法が分からない,子どもの世話・養育の余裕がない,また,泣き止まないことへのいら立ちなど,育児に関わる事柄が挙げられている。また,産後うつ病と虐待の関連も指摘されている2)。さらに妊産婦の死亡原因のうち,自殺が最上位を占めているとの報告がある3)。そして,その背景にうつ病があることが明らかになってきた。
このような状況が明らかになり,2014年に厚生労働省は,母子保健サービスの充実を図るため,地域ごとの実情に応じて妊娠期から子育て期に至るまでの切れ目ない支援を行う事業として「妊娠・出産包括支援事業」を創設し,2015年から本格展開した。産後ケア事業もその一つとして位置付けられることとなった。
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