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2024年10月こども家庭庁より「産後ケア事業ガイドライン」の改定版が公表され,安全に関する留意事項として,児を預かる場合の留意点が加筆されました。児を預かる場合,「短時間であっても児のみの状況とならないよう留意すること」「児の顔が見える仰向けに寝かせ,定期的に目視等で呼吸状態を観察すること」,別室で児の預かりを行う場合は「預かっている児の見守りを行う者と,それ以外の母親や児のケアを行う者との複数体制とすること」,そして人員配置の関係で児の預かりができない時間帯がある場合は「利用者に周知しその時間は預からない等の対応」も明記されました1)。さらに,「乳児用体動センサーについては,異常を早期発見しえた症例報告があるが,急変の早期発見に資するエビデンスを示したものはないことに留意の上,定期的に目視での確認も行うこと」と言及されています1)。ここまで踏み込んだ記載に至った背景には,日本小児突然死予防医学会(旧 日本SIDS・乳幼児突然死予防学会)のワーキンググループによる働きかけがありました。
日本小児突然死予防医学会では,産後ケア事業利用中の乳児の突然死の事例を受け,2023年8月,産後ケア施設における安全管理マニュアルの作成を目的としてワーキンググループを立ち上げました。ワーキンググループのメンバーは学会員である小児科医が中心であるため,産後ケアではどのようなケアが行われているのか未知の状態でした。そこで,筆者が助産師の立場でワーキングメンバーに加わることとなり,産後ケア事業の実際について説明を行い,現実的な安全対策についてメンバーと議論を重ねることになりました。実際にワーキンググループメンバーが世田谷区立産後ケアセンターを見学し,センター長の永森久美子氏もその後ワーキングメンバーに加わり,マニュアル作成の議論とともに2本の動画作成にも協力されました。
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