特別記事
—生殖を含めたライフプラン作成のための支援—「プレコンセプションケア」を知っていますか?
坂上 明子
1
,
青木 恭子
1
1武蔵野大学看護学部看護学科
pp.566-571
発行日 2023年12月25日
Published Date 2023/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202221
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プレコンセプションケアとその背景
プレコンセプションケア(preconception care:PCC)は,「思春期から若年の女性やカップルに対し,知識や情報を提供して将来の妊娠のためのヘルスケアを行うことであり,妊娠を計画している男女ばかりでなく,すべての生殖可能な年齢の男女を対象とするもの」1)と定義されている。2012年に,世界保健機関ではPCCを本格的に推奨しており2),日本においても,2015年に国立成育医療研究センターにプレコンセプションケアセンターが開設され,PCCが推進されるようになった。PCCが必要とされる背景には,意図しない妊娠や性感染症の増加,不妊カップルやハイリスク妊娠の増加,偏食や若い女性のダイエット志向によるやせの増加とそれに伴う低出生体重児や出生児の健康問題の増加など,リプロダクティブヘルス/ライツの知識不足に関連した多くの課題がある。
PCCは不妊を予防して妊娠・出産をより安全・安心なものとし,次世代の健康を守るためのものであるが,対象となる男女にとっても,将来,子どもをもつかもたないかにかかわらず,ヘルスリテラシーを身につけ,健康を維持・増進することにつながる。日本においては,第1子を出産したカップルの5.4組に1組は妊娠先行型結婚であり3),妊娠を計画していなくても,結果として出産に至る場合も多い。そのため,PCCはすべての男女に必要なケアである。
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