連載 りれー随筆・452
コケちゃんとお父さんとたまより助産院
高柳 起久恵
1
1たまより助産院
pp.312-313
発行日 2023年6月25日
Published Date 2023/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202163
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夏祭りの夜,小学3年生の私に釣り上げられた1羽のひよこの名前はピーちゃん。小さくてかわいくてフワフワしていて,たまらなく愛おしかった。ピヨピヨと私をどこまでも追いかけてきて,まるで親鳥と雛鳥。私は,赤ちゃんを育てるように,黄色い小さなピーちゃんを毎晩自分の布団に入れて添い寝し,たくさん話した。
父は,当初ピーちゃんはそう長くは生きまいと思っていたに違いない。鳥籠をせがんでも,「まーそのうちな,祭りのひよこやからなあ」と濁し続けていたからだ。
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