特集 切れ目ない支援を実現する 産前・産後の訪問看護
Q&Aで知る 産前・産後の訪問看護きほんのき
長坂 桂子
1,2
,
小六 真千子
3,4
1西武文理大学看護学部
2NPO法人フィット・フォー・マザー・ジャパン
3株式会社町コム
4日本財団在宅看護センター訪問看護・リハビリテーションセンターななかまど中央
pp.372-382
発行日 2022年8月25日
Published Date 2022/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202035
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医療保険を使って母親の訪問看護ができる
病院や診療所,助産院,地域で母子保健事業に携わっていると,特別な支援が必要な妊産褥婦さんや赤ちゃんに出会うことがあると思います。例えば,精神疾患や重度の身体的疾患のため,自身の日常生活を営むのに支障がある方,疾患や体調不良を抱えているにもかかわらず支援がなく不適切な育児に至ることが予想される方,医療的ケアが必要な赤ちゃんなどです。特別な支援とは,その人が状況に合わせてゆっくり親役割行動がとれるようになるための支援や,その人が暮らしの場で体調管理や日常生活がしやすくなるような方法を一緒に考える支援です。
保健医療機関では,ハイリスクの妊産褥婦さんには,継続的に,できうる限りのダイレクトケアや連携・調整を行うのですが,それでもなお,「家に帰ってからが心配」と思うことはありませんか? 筆者らは,臨床で何度もそのような経験をしてきました。そして,そのたびにこう思いました。「週に何度か,定期的に,ご自宅に看護職が出向いて,自宅での継続看護が提供できたら,もっと楽に,そして安全に育児ができるのに」「自宅で継続看護ができたら,病状悪化や不適切な育児への対処や予防ができるのに」「自宅でケアができれば,医療の生産性も上がるのに」,と。実は,それらを具現化するスキームとして,医療保険を用いた訪問看護が有用です。医療保険を用いて,母親の訪問支援ができるのです。
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